かぜのまえ

沼野伸子

「見慣れたまちの景色も少しずつ形は変わり、たくさんの時間をかけて、全然知らない景色に姿を変える。今は確かにあるのに、過ぎてしまえばまるで昔聞いたお話のようにあれば本当だったのだろうかと、きっと思う。移ろうこと、変わっていくこと。それはずっとずっと昔から続いている出来事でやがて景色は本当の物語に姿を変えていくように感じる。」日常を留めるように描く沼野の詩的な世界が駅待合室に広がる。