吟行列車で行こう

10月いっぱい続く紀の国トレイナート月間、フィナーレを飾るのは29日運行の特別列車「巡るアート号」です。こちらは、沿線の駅に制作されたアート作品をゆっくり鑑賞することを目的としていますが、いくつか限定企画も準備しています。

そのひとつが「吟行列車」。

「吟行」とは俳句や短歌を作るために旅に出ること。トレイナートにはぴったりの企画です。
といっても、ただ乗って作ってくださいというのではありません!俳句の先生にご乗車いただき、俳句のコツを教えていただいたり、みなさんの俳句に句評をしていただいたりしながら列車旅をしていただこうという思惑なのです。

今回ご乗車いただく先生は星野高士先生。鎌倉虚子立子記念館の館長で、10代から句作されています。紀南の方には、7月にあった田辺市熊野俳句大会での星野先生と夏井いつき先生(TBS「プレバト!」出演)の楽しい対談をお聞きになった方もいらっしゃるかもしれません。

星野先生の俳句をいくつかご紹介します。

小鳥来る風という風従えて
晴れて来し崖の中腹山ぶだう
鉛筆の芯の重さや文化の日

実は星野先生、高浜虚子のひ孫に当たります。明治から昭和までを生きた虚子は、写生的な俳句のあり方を提唱したことで現在まで名を残している、日本文学史における重要人物です。教科書で読まれた方もいらっしゃるかもしれません。

虚子は紀伊半島によく旅していたようで、紀南の地方紙「紀伊民報」の当時の記事には、彼の吟行が取り上げられているものがいくつもあります。句碑も多く、和歌山県内には10基が守られているとのこと。星野先生には、この句碑のことも含め、昔のお話も列車内でしていただく予定です。

吟行列車は、11:01の白浜駅発車以降「巡るアート号」車内で開催されます。兼題(事前に出しておくテーマ)はこちらの3つ。

秋惜む
もみじ
渡り鳥

いずれも秋の季語です。ご乗車予定の方は、ぜひ考えてみてきてくださいね。もちろん、乗車中に作っていただくのもよし。沿線には、句を作れそうなポイントや詩心を喚起する景色、アートがいくつもあります。停車時間の長い駅は要チェックです。

みなさまの俳句は15:02の新宮駅到着時に集め、帰りの列車の発車までに星野先生に選句していただきます。そして、再び車内へ。先生による選句の発表と句評をお楽しみください。特選の方々には、紀の国トレイナートグッズを贈呈いたします。

紀伊半島の車窓とアートをのんびり楽しみながら、俳句の世界で遊んでみませんか。

詳細な時刻などは、パンフレットの8-9ページをご覧ください。